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写真と文 石川文平

 

No.45「プリテック・ステージ」1998年11月号掲載

 

高速道路考

■先日、電気自動車に乗せてもらった。ほんのわずかの体験だが、実に静かである。運転者いわく、静か過ぎて歩行者が車の接近に気付いてくれないそうだ。停止中のエンジン音は全くない。それもその筈、モーターだからエンジン音ではないのだが、アイドリングがないので音を発する要素がない。高速で走ってもタイヤの摩擦音だけが気になるそうだ。その車の場合、充電満タンで200Km程走るそうだが、高速道路なら1時間ほど走ったら戻ってこなければならない。何故なら充電施設がまだ殆どないからである。電気自動車が普及したあかつきには、ガソリンスタンドは電気スタンドと呼ばれるようになるのだろうか。■最近テレビで、高速道路の自動料金システムのコマーシャルが流れている。料金所で停止しなくても料金徴収ができるシステムなので渋滞が解消されるというものだ。一見なるほどと思えるのだが、私にはちょっと引っかる点があった。あれだけのシステムを巨額な費用をかけて設置することが、流れを良くする最良の方法だとも思えないのである。流れを良くするには、料金所を廃止すことが最も合理的ではないだろうか。高速道路で出口を間違えた時、何と次のインターまで延々と走り、料金を払って同じ道を戻るという悲しい経験をすると、切実に日本の道路事情を憂うるのである。 先進国では殆どの国が高速道路を無料にしている。日本のような有料システムの最大の欠点は、料金回収の為の無駄が多いという点ではないだろうか。出入口の数だけ人件費や設備費がかかる、従って数も制限されるから渋滞しても逃げ道がない。料金システムがあるからこそ、天下りや高速券の横流し事件など、金権問題も発生する。出口を間違えたのはただのドジに過ぎないが、高速料金値上げ反対で抵抗していたおじさんに思わず声援を送りたくなる。■車のコマーシャルでもう一つ面白いと思ったのは、追突防止の車間コントロールシステムだ。これが全車に普及すれば、追突事故は激減するに違いない。高速道路ではこのシステムを利用すると車は数珠つなぎになって走れるかもしれない。自分だけ先に行こうとさえ思わなければ、快適な高速走行が出来る。そうは言っても、車線変更をしたり追い越したりのドライブテクニックを楽しみたいという人も多いのだろうが、私は高速道路に入ったら自動走行で、風景はもとよりテレビやゲームを楽しみながらのドライブが出来たら面白いと思っている。電気自動車も、道路に電線を設置しておいて、充電しながら走るというのはどうだろうか。数珠つなぎで走ったらまるで電車と同じである。■勝手なことばかり書いているが、現実には廃棄ガスにまみれながら料金の回収に多くの人達が従事している。そしてその人達にも機械化の波が押し寄せる。自動発券機もそのひとつで、券をもらうだけなら機械で十分だと言える。そう思うと機械と同じ仕事をしている発券係員は、なんと空しい仕事をいているのかと気の毒に思えてくる。そんなことを考えながら先日高速道路の入口で券を受け取ったとき、「お気をつけて行ってらしゃい」と声をかけられた。私は思わずご苦労様と言い、すがすがしい気分を味わった。その係員は、1台1台に声をかけていた。しかも、はつらつと誇りをもって仕事をしているように見えた。仕事の価値を勝手にきめつけたことに反省しながら、こんどは出口を見過ごさないようにハンドルを持ちなおした。

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