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写真と文 石川文平

 

No.40「プリテック・ステージ」1998年6月号掲載

 

風が吹いて桶屋が儲かる

■ダイオキシンという耳慣れない言葉がマスコミを賑わせ始めたと思ったら、最近は環境ホルモンなるものが出てきた。オスがメス化してしまう現象らしいが、人間社会でニューハーフなどと呼んでいるあれとは違うらしい。母乳に含まれるダイオキシンの問題など、環境問題はこのところ驚くべき事実が目白押しである。■”風が吹いて桶屋が儲かる”という例えがあるが、現在の環境問題はまさにそのような因果関係である。原因と結果は想像も出来ないところにあったが、たどって行けばなる程ということになる。ダイオキシンにしてもフロンガスにしても、人間にとっては便利で有効と考えられた物質が実は巡り巡って問題を起している。ポリ塩化ジベンゾダイオキシン。ベトナム戦争が作り出した最強最悪の毒物と言われているが、プラスチックの燃焼などでも発生していたのである。プラスチックを作り出したのが科学力ならば、燃焼によりダイオキシンが発生する事を解明したのも科学力である。科学はこれまで人類にとって夢の実現手段であったが、夢の実現の結果は良いことばかりではなかったようだ。科学力は人類に限りない力と可能性を与えてくれる筈であったが、もしかすると、そうではないと言うことを教えようとしているのかもしれない。 ■人類が自然の恵みに感謝して、日用品を修理しながら擦りへる迄使っていた頃は、ごみも危険な問題には至らならなかった。大量消費の社会が、”感謝”の気持ちと”勿体ない”という言葉を不要なものにしてしまった。それと引き替えに大量のごみと資源の枯渇が発生することになる。製品は修理せず買い換えに変わり、大量に物が売れ、経済は発展した。この使い捨て環境は一見快適であり、古いものは価値がないという意識が大勢を占めるようになった。この風潮が、年寄りや年配者に敬意を払わない意識にも繋がったと言える。使い捨てが大量生産経済を支える。このサイクルで成り立っている社会こそ、本当の意味のバブル経済と言えないだろうか。人間の英知は、資源も廃棄物も科学によって夢の再生サイクルを作り上るのかもしれない。しかし、英知が浅知恵であったとするとフロンやダイオキシンのように泥縄式の解決策で、取り返しのつかない結果を作る事にもなる。我々が浪費の上に築いた社会が、消費バブルという砂上の楼閣であるならば、そこにこそ英知を集めて基礎固めをし直す時ではないだろうか。■「便利は不便」この一見矛盾する言葉が私は好きである。男と女、表と裏、昼と夜、物事はバランスの上に成り立っている。便利も不便と一対になってバランスがとれているのである。誰かが便利をすれば誰かが不便をする。一見便利そうな事が後で不便を生む。”風が吹いて桶屋が儲かる”という例えは、食物連鎖や水のサイクルの様に、限られた地球環境の中での当然の原理を言っているのかもしれない。ビジネスでも人との出会いでも、”風が吹いて桶屋が儲かる”ごとくに、巡り巡った現象の一部に遭遇しているのだと考えて見るのも面白い。

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