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写真と文 石川文平

 

No.34「プリテック・ステージ」1997年12月号掲載

 

デジカメ

■カシオ、エプソン、東芝、シャープ、ソニー、リコー、サンヨー、これらは何のメーカーだろうか。カメラメーカーと答える人はいないだろうが、デジタルカメラと聞けばなるほどと思える。デジタルカメラを略してデジカメ。今、若者達に人気である。このデジカメ、当然カメラやフィルムメーカーも作っているわけだが、全メーカーの内、半数近くを他業界が占めているのが驚きである。ボーダレス商品の典型と言えるだろう。新宿西口のカメラ街では、メインの場所に各社のデジカメをずらりと並べて画質や機能の比較をしている。そこはいつ行ってもお客が群がっている。今デジカメはビジネスでも話題の商品になりつつある。■デジカメの最大の特徴はフィルムを使わないことだ。つまり、フィルムレス。デジカメのフィルムに相当する要素は3つに分けられている。1つ目は光の濃淡を感じるCCD、2つ目はCCDの信号を解析して画像を作り出す画像回路、3つ目はスマートメディアなどと呼ばれる記録媒体である。フィルムはこれらの3要素を全て持ち合わせているのだから、なかなかの優れものなのだが、現像という薬品処理が必要になる。デジカメの広告を見ると、各社CCDの画素数を80万だの100万画素だのと競争しているが、銀塩写真にはまだまだ及ばない。画素数が多いばかりが良い画質を生む要素ではないようである。色のバランスや再現力は画像回路の技術要素が大きい。最近では小サイズの出力ならば印刷データとしても耐えうる質のものが出始めているようだ。技術の進歩は日新月歩、特にデジタルは超特急である。デジカメは単なる記念撮影用カメラではないのである。葉書や案内書など、パソコンで加工したオリジナルな制作物やインターネットでの使用、商品ファイルや顔写真付き住所録など、アイデア次第で便利な使い方が沢山できる。今やデジカメはパソコンに欠かせない周辺機器なのである。 ■アマチュアばかりでなく、プロのカメラマンの世界でもデジカメが使われ始めている。デジカメで印刷用の写真撮影を始めたカメラマンは、この不況の中、仕事が忙しくてしょうがないそうだ。プロ用デジカメ1台で通常のプロカメラが10台買える。そんなに高いカメラを使ってコストが合うのだろうか。カメラマンいわく、フィルム代や現像代がかからない。つまり、材料費は殆どただ。撮り直しが無くなった。しかも分解料が不要になるし、デュープをとらずにデータコピーで対応できるから発注者にもメリットが大きい。その分フィルムメーカーにとっては頭の痛い問題になる。ユーザーは一旦デジカメを買うと殆ど写真屋さんへは足を運ばなくてよくなる。つまり、フィルムや現像料での2次ビジネスは見込めないし、プリントはカラーコピーからの出力で間に合わすことも可能だからである。かと言って、フィルムメーカーがデジカメを無視する訳にはいかない。黙っていてもパソコン関連の他業界が参入してくるからだ。矛盾をはらみながらも、フィルムメーカーはデジタルカメラを製造しているのである。デジタル化は色々な所でこの状況に似た現象を引き起こす。中間行程が省かれる事で便利になる反面、仕事や商品が消えて行くのである。■印刷業界でもフィルムレスが始まった。 CTP”コンピュータ・トゥー・プレート”である。そして、いずれプレートレスになりオンデマンドプリントに移行するだろう。1997年日本のインターネット人口500万人、その3年後の2000年には2000万人と予想されている。消えてゆくものがあれば、新しく出来てくるものがある。「去るものは日々に疎く、来たるものは日々に親し」であろうか。

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