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写真と文 石川文平

 

No.27「プリテック・ステージ」1997年5月号掲載

 

クラッカー

■クラッカーと言ってもお菓子ではない。ならばクリスマスパーティーなどでパーンとやるあれを想像することになるがそれでもない。今話題のクラッカーはコンピュータ・クラッカー、パスワードを盗んだりコンピュータ・ウイルスなどでプログラムを破壊したりする事を楽しんでいるコンピュータ・オタクをクラッカーと呼ぶのである。つまり、我々がこれまでよく耳にしていたハッカーというあれであるが、どうやらハッカーとクラッカーとでは質が違うらしい。■ハッカーは切り開くと言う意味のhackから来ているそうである。コンピュータ知識が(異常なほど)豊富で、特殊な方法でコンピュータ内にアクセス出来るレベルの人を言う訳だが、知識や技術も使いようである。正統派ハッカーはその豊富な知識とテクニックを進歩的な意見や提案や開発などプラスの貢献に使う。その能力を自分の利益や他人に迷惑を及ぼすことで快感を得るようなマイナーな連中をクラッカーと呼んで差別化しているのである。いずれにしてもコンピュータ高能力者ハッカーとクラッカーは紙一重と言えそうだが、マスコミがどちらもハッカーと呼んだ為、正統派ハッカー達は迷惑しているらしい。■クラッカー達が最も楽しめるのはサイバースペースつまりインターネットである。O−157や新種のウイルスが世の中を騒がせているが、コンピュータ社会でもウイルスが騒ぎを起こしているのはご存じの通りである。コンピュータウイルスにも色々あって、まず面白いのがデマ・ウイルス。「Good Timesというファイルを受け取ったら開いて読んではいけません、ハードディスクの中味を消してしまいます。この情報を貴方のお友達全員に送ってあげましょう」と言うものである。これは文字さえ打てれば作れるのだから誰でも出来てしまう。以前、私が紹介したバレンタインデーに発病するというバレンタインウイルスもどうやらデマ・ウイルスだったようである。夕方5時になると「アルプス1万尺」を突然演奏し始めるお茶目なヤンキー・ドゥードルというウイルスもいるそうだ。病気も程度問題で、鼻をたらす程度ならともかく脳死状態になってしまうようなものは困りものである。 ■最近特に話題になっているクラッカー事件にdeath.linkというのがある。マイクロソフト社のエクスプローラ(ウィンドーズ95には無料で付いてくるインターネット用アクセスソフト)を使って、あるホームページやデータにアクセスするとハードディスク内全てが消去されてしまうのだそうだ。新聞や雑誌でも取り上げられている話題だが、マイクロソフト社はどうも明快な解決をしていないようである。インターネット市場で圧倒的なシェアを持つネットスケープが最近エクスプローラに巻き返されていることから、シェア争いのデマ・ウイルスではないか等と色々な憶測も飛び交っている。■歴史の浅いコンピュータ、技術的にもまだまだ落し穴が沢山隠れているようだ。それを発見して弱点を攻撃するクラッカー、考えようによっては弱点改善の原動力と言えるのかもしれなが、他人に迷惑を及ぼして世の為になったという理屈は通る筈もない。新種のウイルス造りに喜びを感じていたあるクラッカーが社会に貢献する事に目覚め、ワクチン造りに転身したという話しを聞いたことがある。善悪紙一重の所にいるコンピュータ高能力者達、どちらに価値を見い出すかは、コンピュータには最も縁の遠いハートで決めるところとなるのだろう。
資料:パソコン犯罪から身を守る(谷岡康則著・講談社)

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