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写真と文 石川文平

 

No.25「プリテック・ステージ」1997年3月号掲載

 

ネチズン

■インターネット社会の中で活動する人達を”ネチズン”と呼び始めているそうだ。インターネットシチズン、つまりネット・シチズンでネチズン。タマゴ・ウォッチがタマゴッチ、超ベリーグッドがチョベリグと何でも省略語にしてしまう日本人も、ネチズンまでは馴染めなかったようで、こちらは日本人の造語ではないようだ。■インターネットに関係する日本人の造語で興味深いものに”智場”(ちじょう)という言葉がある。何とも耳慣れない言葉で思わず痴情などと書いてしまいそうだが、これは公文俊平氏(国際グローバル・コミュニケーション・センター所長)の造語である。この他に、智業、智民という言葉も使っている。聞いただけでは何だかさっぱり分からない。この言葉が果たして市民権、いや智民権を得るのかどうかは分からないが、21世紀の新しい経営の在り方を示唆しているらしい。10年程前から話題になっていたトフラーの”第三の波”という言葉もここにきてやっと、成る程こういうことを言っていたのかと理解出来始めたのだから、智場も智民もあと10年もすれば理解出来るようになるのかもしれない。■このまま行けば地球資源の枯渇は時間の問題であり、現在の物流(消費)経済が行詰まるのは間違いない。したがって、いずれ新しい経済構造に変わらなければならないことは誰でも理解できる。公文氏はその新しい経済構造の市場を智場と呼ぶ。智、つまり情報流通が新しい経済の中心になると言うのである。その智場で活動する企業を智業と呼ぶ。智民はネチズンと同じで情報受信者(消費者)であり、また発進者(生産者)でもある。この辺にくるとどうも分かりにくくなり、今までの経済とどう違うんだと聞きたくなるが、この考えに最も近く当てはまるのがインターネット社会だと言う。 ■第三の波を書いたアルビン・トフラーも、情報の流通に対応できず巨大化した組織企業は崩壊すると言っている。二人に共通しているのは、新しい経済構造の上では、これまでの企業の常識は通用しなくなるという点だ。フォードや、松下幸之助が築いた大量生産による利益構造は成り立たなくなる。あのビル・ゲイツのマイクロソフトですら、旧来型の企業だという。最近日本の銀行もインターネットを利用したサービスを始めた。これまでは単なる企業紹介だったホームページから、残高照会や振込サービスを開始する銀行が増えている。全く店舗を持たずに、ネット上だけで銀行業務を行うサイバーバンクが、すでに海外ではオープンしていると聞く。考えてみれば銀行こそあんな一等地に店開きしなくてもいい企業だと言える。■価値観が変わる。労働システムが変わる。ひょっとすると、21世紀にむかう大波の向こう側では、想像するには面白過ぎる世界が待ち受けているのかもしれない。ネチズンだなんて、歯の裏に絡み付いたキャラメルのような違和感で、あまり使いたくもないし呼ばれたくもない響きだが、虎穴に入らずんば虎児を得ず。インターネット社会のネチズンをかいま見る努力も、今後の経営には必要なのかもしれない。

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