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写真と文 石川文平

 

No.24「プリテック・ステージ」1997年2月号掲載

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タマゴッチ

■今爆発的人気の”タマゴッチ”を近所のお嬢さん(中学生)に見せてもらった。なんとミーハーなおじさんだろう。可っ愛い〜!これ買っちゃおー、とまでは行かなかったものの、正直言えば、結構面白そうなゲームである。当家の中学生の娘もこれがほしくてしょうがないのだが、どこも品切れで手に入らないようだ。 娘達はゲームとしてよりもペットと意識している。■小さな卵型のキーホルダ程の大きさで液晶画面が付いている、ポケットにも筆箱にも簡単に収まる。だから、いつでも何処でもつれて歩ける。学校にも持っていく。いつもタマゴッチには目を離せないのだ。何故なら、育て方によっては悪い子に育ったり途中で死んでしまったりするからだ。1日1才の歳をとり、うまく長生きさせれば60才位までは生きるのだそうだ。つまりこれは、2ヵ月位かかる長いゲームで、その経過によって結果が違う複雑な子育てゲームなのだ。この複雑さに面白味がある訳で、食事やおやつもちゃんとほしがるのだが、その与え方によって育ち方に変化が出る。一緒に遊んで運動させてやらないと肥満児になるし、我がままを言ったときにしっかり躾をしないとグレてしまったりする。子供たちがこのゲームペットを熱心に飼っているうちに、善い子に育ってほしいという親の気持ちが、多少なりとも、理解して貰えるかもしれないと、つい期待してしまう。■子育てでは猿の話しがよく話題になるが、動物園などで群れと隔離状態で育った雌猿は、子供を産んでも正しく育てられないそうである。人間もままごと遊びや、子育てを見ながら大人になる準備をするわけだが、最近は遊び方も違って来て大人になることにあこがれるよりも、その時楽しければいい場当たり的ゲームが主流になっている。最近子育てに疲れてノイローゼになる母親が多いと聞くが、子育てのストレスをうまく消化しきれない不安状態がもたらすものらしい。核家族化の中で本を片手に子育てをする若夫婦が増えているようだが、本は掲載されていない状況の不安には答えてくれない。経験者から教えてもらうものは、マニュアル的方法論よりも、人から人へ伝える安心感なのである。不安はちょっとした事で解消されるものだ。『私もそうだったよ』たったこれだけの言葉が、気持ちを急に楽にさせてくれる。人は辛いことでも、自分だけではないということで耐える力が湧いてくる。スポーツでも経営でも言えることだと思う。 ■”タマゴッチ”の前に”テトリス”というゲームが流行った。こちらは単純な図形ゲームで、うまくなったところで何の役にも立ちそうにないものだった。この”タマゴッチ”は子供達にままごと遊び程度の意識を芽生えさてくれるのだろうか。コンピュータの可能性は文字文化と違うところに隠れているのかもしれない。”タマゴッチ”をほしくてしょうがない当家の娘が、私に一言教えてくれた。「タマゴッチの裏側にリセットボタンが付いてるんだよ。それを押せば自分が気に入らない育ち方をしたタマゴッチを0からやり直すことが出来るんだって・・・でも・・・」でもの後の言葉を、ほっとしながら聞いていた。

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