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写真と文 石川文平

 

No.10「プリテック・ステージ」1995年12月号掲載

 

馬には乗ってみよ人には添うてみよ

最近あまり耳にしなくなったが、「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」という言葉がある。

馬を遠くから眺めていただけでは、どんな動物なのか判らない。人も所帯をもって初めてその人の長所に気付くものである。用心ばかりしていずに思いきって当たって見なさいと言う故事だが、昔、お見合いおばさんがしきりに使った言葉である。しかし、仲人用語と考えずにこの言葉を聞き直してみると、なかなか含蓄のある言葉だと思う。

何年か前に初めて馬に乗った時、何と晴れやかなものかと感じた。思ったよりも見晴らしが良く自分が一段大物になったような気分を味わえた。それまでも馬に乗ってみたいという興味があって色々想像してはいたが、想像の感覚とは随分違っていた。馬に乗ることは移動するイメージが強かったのだが、乗ってみて視線の高さが、まず第一の快感であることに気付いた。馬には乗ってみるものである。

人に添う事に関しては、必ずしも所帯を持つ意味ばかりを当てはめなくてもよいと思う。気の向かない人にも近付いてみたり、人の意見を素直に聞くという事に解釈すると、いつの時代にも共通する格言ではないだろうか。

 

この言葉を生活の中で聞いたことがあるのは、40代以上の人達だと思うが、この年代の人達はコンピュータアレルギー世代と言われている。私の友人には「意地でもキーボードはさわらない」と言っている者が何人もいる。最近はマスコミがマルチメディアを扱う率が高くなった。特にインターネットはこのところ急速に関心が高まっており、毎日何処かで関連番組が流れている。こうなって来ると、中年族もいつまでも意地を張ってはいられない心境であろう。

”ウィンドーズ95”が、つい先日日本でも発売された。アメリカと同じように、深夜0時の発売開始にもかかわらず行列を作る熱狂振りであった。このソフトは、従来のMS−DOSマシーンにも搭載することの出来る、ウィンドー表示のOS(基本ソフト)である。ウィンドー表示のコンピュータはマッキントッシュが本家であるが、マイクロソフト社がマッキントッシュによく似たウィンドーズを発売するには、著作権問題でアップル社と裁判までしたいきさつがある。

パソコンのOSにおいて世界的にトップのシェアを持つマイクロソフト社が、マルチメディア時代に向けてどうしても開発し、販売したかった戦略商品なのだ。ウィンドーズという単語が、パソコン界で話題になり期待もされて来たが、マッキントッシュを制するのか、特徴を生かして住み分けをして行くのか、あるいは期待はずれで伸び悩むのかは、現状では判らない。しかし、”ウィンドーズ95”の発売と熱狂的な反応は、マルチメディアに対する関心の高さを物語っている。今後マルチメディア関連ソフトは益々増え、加速度的にパソコンの普及率はアップするだろう。

私も、最近ノートパソコンという馬にまたがってみた。これがなかなか快適である。『馬には乗って見よ、人には添うて見よ』。パソコンアレルギーの皆さん、いつまでも意地を張っていないで、そろそろ馬ならぬマウスににまたがって、マルチメディアの将来をかいま見てみるのはいかがだろうか。

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