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写真と文 石川文平

 

1994年8月

 

シ―ボルト見聞録

ク―ラ―のきいた飛行場のロビ―を出ると、照りつける日差しの中に、歌に聞いたカリフ ォルニアの青空が広がっていた。アメリカには数回来ているがロスは初めてである。見知 らぬ街に期待と不安を抱くのは、旅をするときの醍醐味にもつながっているのだが、今回 は殆どがDigital World Conferenceに缶詰状態になるはずで、 旅心を持ってあちこち歩き回る事は不可能とあきらめて出かけた。カリフォルニアの夏は 乾期にあたり殆ど雨が降らない。だから山は枯れて茶色く見える。日本の夏は青空に緑の 山と言うのが常識であるが、こちらは抜ける青空に茶色の山はだである。しかし、芝生だ けはどこも青々としてすがすがしい。どこの家庭でもまめに散水をしているからで、乾期 と言えども水は豊富なようである。年間通して雨の少ない地域であるが、水に困らないの はネバダ山脈の雪解け水を用水路で運んで来ているためで、この潅がい力を保たなければ すぐに砂漠になってしまう場所である。ロスは今やアメリカ第二の経済都市であるが、ミ ―ハ―の私にはミウラカズヨシ事件や、留学生射殺事件、ロス暴動等の方が強くイメ―ジ にあり、ハリウッドやディズニ―ランドを見学することよりも、それらの現場に行ってみ たい気持ちが強かったが、今回は興味本位の旅ではないと自分に言い聞かせながら、三日 間のConferenceに挑んだのである。 シ―ボルトセミナ―は、DTP関係のトップ情報を得る機関として数年前から開催してお り、毎月シ―ボルトレポ―トとしてDTPやマルチメディア関係の最新情報を専門的な立 場で分析、解説して世界に発信している。今回は情報ス―パ―ハイウェイを中心にマルチ メディアとネットワ―ク関係がテ―マであった。各方面の専門家をパネラ―にディスカッ ションを進め、各パネラ―の最新情報から方向性を探る形式で進行する。内容は十数テ― マ有ったが、ディスカッションの他に開発中のソフトを会議場の大画面モニタ―で紹介す るなど興味のあるテ―マなら面白く聞ける内容である。勿論全て英語で話すため、私のレ ベルでは理解することは不可能であるが、今回は日本語の同時通訳がついていたので、興 味のあるテ―マについてはじっくりと十分聞く事が出来た。しかしながら、同時通訳を一 日中聞いていると頭がボ―ッとしてくる。ただでさえボ―ッとしているのに、イヤホ―ン からは通訳の声、反対側からはマイクからの英語が飛び込んで来るのであるから混乱して くる。二人が交替しながらとは言え、通訳嬢も時たま混乱するようで、英単語を羅列して しまったり、二人同時に喋られると多少内容をはしょったりせざるを得なかったようであ る。尤も、喋っているほうは通訳のことなどお構いなしに、べらべらと早口でしかも専門 用語で喋るのだから、通訳の方達のご苦労にはつくずく頭が下がった。この会議の中で特 に私が興味を引かれたことは、情報ス―パ―ハイウェイが動き出したとき、機密保持につ いてどうすべきかを、アメリカが国をあげて真剣に取り組んでいることである。その方法 として、個人サインの暗号化技術をアメリカ政府が国防省、商務省、司法省と協力して開 発を進めている。FBI担当官は、犯罪捜査上情報開示は必要条件と主張しているが、国 が個人情報を開く権限を持てば、政府が全てのネットワ―クデ―タを検閲出来ることにも なると、管理体制についての問題点を上げていた。当社のようにフォトライブラリ―とい うビジネスを行っていると、これらのテ―マには敏感にならざるおえない。この他いくつ も興味を持ったテ―マが有ったが、それらについてはいずれ機会が有ったら詳しく書きた い。 アメリカの高速道路フリ―ウェ―は、その名の通り無料である。片側4〜6車線もある 大河の様な高速道路を、隙間無く密集して走る車を見ていると、日本の首都高速がひ弱な 竹の樋の様に感じる。アメリカではハイウェイという言葉を、高速道路の意味では使わな い。従って情報ス―パ―ハイウェイは、一般道を意味する。日本も10年後に向けて取り 組み始めた情報ネットワ―クのインフラストラクチャ―、特別な道路を目指すよりも、ご く当たり前な存在として、インフラ構築をするべきなのであろう。日本が産みの親と言わ れる情報ス―パ―ハイウェイ、車社会のアメリカがやはり一枚上手に、路線施設作りを進 めて行くのかもしれない。

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