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写真と文 石川文平

 

プロセス写真製版DTPテクニック

 

カラーキャリブレーション原則論

買うときはチャコールグレーに見えた服が、家に帰って見たらブルーグレーだったなんて経験ありますよね。DTPの最終目的は出力です。自分のモニターでいくら満足な結果が得られても、出力で同じ結果が得られなければ何にもなりません。特に発色の違いの調整、つまりカラーキャリブレーションについては、文字化けの様な問題とは違って単純に解決(納得)出来ない難しさが有ります。テレビのモニターでも、電気屋さんの店頭に並んだ画面を見て判る通り、発色の違いはそのモニターによりまちまちです。これまでのアナログ印刷では、カラー原稿を見る光源は5000K°(ケルビン[太陽の光に近い発色を得られる光量])を標準とし、色校正用インキと刷り濃度を作業レベルで一定化することで、主観による判断の曖昧さを少なくしてきました。DTPは、デジタルなので数値に置き変わるのですから、キャリブレーションの心配はないように感じるかもしれませんが、これがアナログ印刷よりも厄介な問題を生んでいます。「DTP印刷成功の原則はカラーキャリブレーションに有り」と言っても過言ではないでしょう。



モニターの色は仮の色

入口の条件と同じ結果が出口で得られれば良い訳で、中間部分を気にしなければ、入口と出口、2つのポイントだけを調整すればよいことになります。従来のアナログ印刷は、校正刷りをキャリブレーションの基本に置いて調整をとって来ました。原稿が入校されてから校正刷りが出るまで全てモノクロ(製版フィルムはリスフィルムで白と黒の変化しか無いのです)で進むのですから、中間行程を色のついた状態で見たくても見られません。DTPの場合はモニター作業ですから、常に色のついた状態で作業を進められます。ところが、作業をしたモニターの色が仕上がりの色になると錯覚、または期待してしまうから、問題が生じるのです。「モニターは仮の色」である事を十分承知の上で作業を進めるならば、まず第一関門通過です。



セッター出力の不安

DTPデザインの場合、セッター(デジタルデータを印刷用の製版フィルムとして出力するハードウェア)でフィルム出力したものがすぐ結果となりますが、その善し悪しもデザイナーの責任になります。それが怖いからと、せっかくDTPデザインをしていながら、わざわざ版下出力をして製版入校し、カラーコピー出力を色指定紙に使うという手間をかけているデザイナーもいると聞きました。セッター出力をした結果が失敗していた場合、高額な出力フィーを払ってやり直しをしなければならないからです。でも、なにか時間や資源の無駄使いの様な気がしませんか。そこで重要なポイントは、フィルム出力の前に校正出力を見る必要があるということです。文字やレイアウトの確認は、コピー出力や簡易デジタルプルーフでも可能です。写真の色調についてが難しい訳ですが、正確な色校正は出力フィルムから校正刷りをとるか、ハイエンドなデジタルプルーフを利用することになります。ハードの開発も進み、デジタルプルーフがカラーキャリブレーションの主役になることは、間違いないでしょう。印刷が目的ならば写真のデータは印刷用のハイエンドデータで作成していなければ意味がありません。従って、キャリブレーションの基本としての校正出力を正しく出してくれる製版会社または印刷会社に、入口と出口を依存するのも良い方法と言えます。DTPアプリケーションにも、製版用画像処理と同等レベルで色調整が出来るものがありますので、入力された画像の質が高く、キャリブレーションのとれたモニターであれば、自分の好みに合った微調整をデザイナー自身が行えます。スキャナオペレータやレタッチマンに依存するよりも、自分が色調整した方が納得の行くものが作れるはずです。しかし、ここでもキャリブレーションの重要性に気付きます。モニターがキャリブレーション調整出来ていなければ、せっかくの色調整が、実は間違った調整をしていたことになる訳ですから、骨折り損の疲れ儲けということになります。



モニターのキャリブレーション

「モニターは仮の色」といっても、仕上がりと程遠い色で作業をしていたのでは、デザイナーのセンスを疑われてしまいます。キャリブレーションの方法は、モニター画面に特殊な装置を取り付けて彩度を測定するものや、アプリケーションソフトで調整出来るものなど、色々ありますが、過去にセッター出力をした経験がある方なら、費用をかけずに調整する方法をお試し下さい。先ず、過去にセッター出力して作った校正刷りの中から、出来ればカラフルで女性や子供の肌色が多く映っている、写真の入ったものを選んでください。その写真データをモニター上に呼び出して、校正刷りに近い発色になるように、モニターのカラーバランスを調整します。周りの光からも影響されますから、ボール紙でフードのような囲いを上部と左右に付けることをお勧めします。モニターの種類によっては、うまくカラー調整が出来ないものもあります。そんな場合は、そのモニターがどんな傾向の発色をしているのかを、校正刷りとじっくり比較して掴んで下さい。”仮の色”の傾向値を知っておく必要が有るからです。しばらくの間校正をとる度に調整し、最も判りやすい校正刷りをキャリブレーション用として決めておくのも良いでしょう。全てのモニターをシビアに調整しておくのは大変ですから、色を重要視する作業に使うモニターを決めておくのも方法だと言えます。オフィスに1台は高品位のモニターを用意したいものです。蛇足かとは思いますが、出力した校正刷りと同じデータで比較することを間違えないようにご注意ください。

  

 

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